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   讃岐うどん探訪記。
   デジタルビジネスの動向を洞察するキーワード。 ポケットボード
                          マピオン
   '99年に私が注目する製品/サービス       家庭内LANの本格普及
                          モバイル・PDA


讃岐うどん探訪記


1999年6月LINDAへ記載

 讃岐うどんに興味を持ったのは、いつの事だろうか。
 学生時代、乗船実習の折り、休息のため上陸した高松で
 うどん屋を4軒はしごした事があるが、それで「讃岐うどん」には
 満足し十分だと思っていた。その時、高松市内の普通のうどん屋で
 食べたうどんは、十分に美味しく、それまで母の作ったうどんや、
 東京の蕎麦屋のうどんしか食べた事のない私には、「うどんは、
 本場に来なければ美味しいものは食べられない。」との考えを持
 つ様になった。
 また、東京生まれの東京育ちの私は、「うどん」より「そば」と
 言う嗜好も強く、普段めん類を食べる時は、「ラーメン」か
 「そば」であり、「うどん」を好んで食す事はなかった。

 数年前だと思うが、IRONKID氏が讃岐地方を旅行し、
 LINDAにその紀行をアップした、その紀行文の中に、
 「讃岐うどんは奥が深い。と言うような記述があり、「ふ〜〜ん、
 そうなのか〜」との感想を持った事もあった。

 皆さんは、既にご存知だと思うが、氏はグルメにしてグルマン、
 氏の食へのこだわりは素晴らしい物であるし、食に対する評価は
 信頼にたる物である。
 昨年の秋、私が出講している学校の学生に高松出身者がおり、
 彼の「うどん」へ対するこだわり等からも、「讃岐うどん」
 に多少の興味を持った、また、彼から「讃岐うどん」のホー
 ムぺージの存在を教えて貰ったりもした。

 その頃までは、「うどん屋」と言うのは、東京の蕎麦屋の様な
 店や、駅の立ち食い蕎麦屋の様な店舗しか考えていなかった。

 今年の春、私の配偶者がかねてよりファンであった村上春樹の
 「辺境・近境」という本を読み本場の「讃岐うどん」を食べて
 見たいと言い出した。
 私も、借りて一読してみた。そこには、セルフサービスの「う
 どん屋」や、製麺所で食べるうどんなど、想像もしていなかった
 「讃岐うどん」が描かれていた。
 また、店舗の立地に関しても、市街地でも街道筋でもない、田園地帯に
 ぽつんと、うどんを食べさせる店があるなどの記述がある。

 そこで、前述のホームページを見ると、香川県内のうどん屋が
 200軒近く紹介されており、そこには、「郵便局配達員休息所」
 とか、一般店、セルフ店、製麺所などの種別も記載してあった。
 また、村上春樹の「辺境・近境」にも言及しており、丁寧な解説も
 ついていた。

 そんな折り、大阪での仕事が入り月に数回金曜日に大阪に行く
 ようになった。

 大阪で、金曜日仕事をし、1泊して土曜日1日、レンタカー
 で、走れば、明石海峡大橋も出来た事だし香川県の辺鄙な所でも
 行けるのでは無いか、出張のついでなら、多少の交通費も浮かせる
 事ができる。
 
 そんな事を大阪在住の友人と話をしたら、「おれも行く」と
 いうことになり、ををつか夫婦と友人夫婦3歳児(麺類好き)付き、
 そして車は友人が出してくれることとなった。


 19日の朝、約束通り9時に我々夫婦の宿泊先の新大阪のホテルへ
 友人が迎えに来る。常に時間には正確だ。
 残念ながら、天気はあまり良くない、まあ、梅雨なんだからしかたが
 無い。しかたがないからやむおえない。

 新大阪から、北上し、中国道、山陽道と経由し、明石海峡大橋へ、
 東京近郊のベイブリッジ、レインボーブリッジと、大型橋梁は
 見慣れているつもりだったが、明石海峡大橋は、その規模は
 群をぬいており、「すげ〜」と思わず声を出す迫力だ。

 この橋には、思い出がある。はじめて見る橋に思い出が有ると
 言うのも変だが、私がハードウエアエンジニアとしての最後の
 仕事が、この橋を建設する前に工事の準備として明石海峡の
 波の高さを測る波高計の開発と製作だった。もう十数年前の
 事である。あの頃はまだアナログ回路だった。

 明石海峡を渡り、淡路島を抜け、大鳴門橋を渡り四国へ。
 大鳴門橋からは、うずしおも見ることが出来た。

 鳴門からは国道11号線で高松へ、最初のうどんやは、高松市内
 香川大学近所の住宅街にある久保製麺所だ。

 予定より、多少遅れ、13時頃、久保製麺所に到着。
 店には「久保製麺所」の看板、のれんなどは出ていない。

 店に入ると、6畳位の狭い店内にデコラ張りのテーブルが数卓と丸いす。
 幸い4人掛けのテーブルが空いている。
 「いらっしゃい、なんにします」とおばさんの声
 声のした方を見ると薩摩揚げとコロッケがパットに入り
 並んでいる、カウンター、その上に「小130円」「大240円」
 「特270円」と書いた短冊が止めてある。すかさず、「小を2つ」
  ここでもたもたしてる事が許されない店内の雰囲気だ。
 「温かいのと冷たいのどっち」とおばさん。
 外は雨がふって、6月なのに肌寒い。
 「温かいの」。
 カウンターに有る大きな薩摩揚げを、これまた用意してあるまな板の上で
 切っていると、どんぶりが出てくる。その場でお金を払い、受け取る。
 ちなみに、薩摩揚げは70円だ。
 「小」と言っても、駅の立ち食い蕎麦で食べるうどんと同じ位の量はある。
 どんぶりにはうどんに薬味のネギが乗り熱いつゆが掛かっている。
 配偶者の待つテーブルへ、と言っても狭い店内、振り向いただけだ。
 テーブルには、牛乳瓶ほどもある七味が入ったビンが乗っている。
 早速、テーブルに座り、食べ始める、友人夫婦も、小1つ、大1つと
 たのみ、子供用に小さな器を貰い食べ始める。

 「美味しい」が、はたして、車に乗って食べに来る程のものだろうか。
 ごくごく普通のかけうどんに感じる。

 そこで、閃いた。「おばちゃん、冷たい小を1つ」
 冷たいうどんがどんぶりに入り、つけ汁が入った蕎麦猪口とともに
 渡される。
 冷たいうどんの方が断然美味しい。麺の角が立ち、腰の強さも十分で
 つけ汁も麺の強さに負けない濃さだ。
 すでに「温かい小」を食べ終わってる4人は、「冷たい小」を廻し
 食べる。

 子供連れの我々は、食べるのに時間が掛かる、掛かると言っても
 店内にいたのは、20分もないだろう。その間に我々以外の客は
 2回転か3回転している。ひっきりなしに客が入り、イスに座り
 うどんを掻き込み出ていく、その間10分も掛からない。
 駅の立ち食い蕎麦とおなじだ。
 
 次に、高松市内を離れ、坂出市郊外の鴨川に向かう。JR予讃線
 鴨川駅近所に、田園型うどんやが2軒ある。


 高松市内から、30分程で、鴨川に着いた、地図を見ながら
 車を走らせ店を探す。

 綾川という川沿いに、昔は水車で製粉所をやっていた山下製麺所がある。
 道ぞいに「うどん」のノボリが出ていた。
 ノボリ以外は、なんの目印もない、昔、先輩に聞いた「SPの
 基本はノボリだ」の言葉を思い出す。

 農家の庭先に入る様に入って行くと、農具置き場の様な農家の離れに
 「郵便局配達員休息所」の看板が掛かり、狭い入り口から中に入ると
 土間の奥に大きなかまどに大ナベ(五右衛門風呂位の大きさ)が
 掛かりぐつぐつ煮えたぎっている。鍋の横には、おばあさんと呼んでも
 失礼にならない位の年齢のご夫人が立っている。
 さらにその奥では、小麦粉を延ばしている。

 勝手が判らず店内をきょろきょろ見回していると、郵便局員が入って来て、
 大ナベの横まで行き、おばあちゃんに「温かい大」と言い、湯がいた
 うどんの入った、どんぶりを受け取り、手前のテーブルに並んでいる
 薬味をかけ、練炭火鉢にかかっている寸胴鍋のつゆを自分で入れ、
 テーブルに付き食べ始めた。

 手前のテーブルには薬味の外に、薩摩あげとコロッケ、冷たい汁など
 が置いてある。

 そこで、「冷たい小2つ」とおばさんに言い、どんぶりを受け取り
 薬味と、コロッケを取り薬味とともに並んでいる、冷たい汁を掛け、
 テーブルに座る、テーブルには、ビン入りの出汁醤油と、すりゴマ、
 おろし金と生姜が置いてある。

 生姜うどんが大好物の配偶者は大喜びだ。
 友人の嫁さんは、「さっき食べたばかりなのに」などと言いながら、
 やはり「冷たい小」を食べている。
 出汁は、どちらかと言うと醤油の勝った、辛めの物、麺は腰が強く
 先程の大久保より美味しく感じる。

 コロッケには驚いた、その形から、普段肉屋で買うポテトコロッケと
 思って取ったのだが、それは薩摩揚げにパン粉を付けて揚げた薩摩揚げの
 フライなのである。歯ごたえの有る、美味しい薩摩揚げだ、うどんに
 フライの油が染み出、柔らかな味になりこれも美味しい。

 テーブルクロスのビニールに下に、「小120円、大170円、ビール」
 などとお品書きが入ってる。ここは、ビールも飲めるらしい。

 我々が食べていると、なんとパトカー警官が2人で食べに入って来た。
 郵便配達中のうどん屋での休息は許されているようだが、香川県警では、
 パトカーでの勤務中にうどん屋での休憩は許されているのだろうか。

 さすがに小と言えども、うどんを立て続けに2杯も食べれば、満腹になる。
 友人の子供は、「おなかが痛いよ〜」とこれも食べ過ぎの様だ。

 店の周りをぶらぶらし、店で飼ってる犬などをカラカイ、腹の落ち着くのを
 待つ。

 もう1軒行きたい店がある。


 「山下」から、車で5分も掛からない所の、田んぼに囲まれた
 集落の一角に「蒲生」がある、ここも製麺所だ。
 ここは、店の前に床几が置いてあり、用水路に水が流れ、田んぼが
 広がっている。作ったばかりのやたら立派な駐車場もある。

 車を止め、降りたが、さすがに満腹のメンバー、顔を見合わせ
 「どうする」、「食べたいけど満腹だ」
 「んじゃ、4人で、2杯たのもう、店の中に入らなくて済むから
 気まずくなくシェアできるだろう」

 ということで、店に入る、入ったすぐに大ナベでお湯が沸いている
 「何にします」、
 「冷たい小」、冷たい麺の入ったどんぶりを受けとり、横のテーブルに
 乗ってるポリタンクに入ってるつゆをかけ、薬味をとり、表に出、床几に座り、
 1杯のどんぶりを配偶者と分け合う、食べながら店内を見ると、奥の方に
 天かすが置いてあるのを発見する、店内に戻り、天かすをトッピングする。
 ここの麺は、うどんで満腹の状態で「美味い」と感じた。
 天かすの油の染み出したツユも良い。そして、小100円である。
 ここでも、店の奥で製麺機が動いている。

 食べ終わって15時、店では、営業終了の看板を出した。我々が最後の
 客になった様だ。

 帰りは坂出から、瀬戸中央自動車道を通り、岡山から山陽道を通り
 大阪周辺部の渋滞につかまり、新大阪に18時に到着。
 19時前の「のぞみ」に乗り、帰宅したのが、22時30分。

 結局、うどん屋は3軒しか回れなかった、小食の自分が恨めしい。
 KID氏ならあと2軒は回れるだろう。
 氏からは「おまえと食事に行くと量が食べられないからつまらん」と
 言われる。

 今回の小旅行で讃岐うどんの認識が変わった。
 讃岐うどんは、関西系の薄い黄金色の出汁に浸かった温かいうどんと
 いうイメージを持っていたが。
 結構辛い、醤油味の勝ったつゆがうどんに掛かっていた。
 そして、今回廻った3軒はどこも美味しかった。

 村上春樹も描いていたが、うどんに関して讃岐の地は、外の地方
 どことも違う価値観が働いているのだろう。

 これで、いままで以上に、東京でうどんを食べても、美味しく感じる
 事が無いだろうなと思う。

 うどんが食べたくなったら、車を飛ばして、讃岐へ行けば良いのだ
 が・・・・
 2万円かけていっぱい100円のうどんを食べに行く贅沢は次はいつ
 出来るだろうか。

                   ごちそうさま  ををつか

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デジタルビジネスの動向を洞察するキーワード

ポケットボード


  1998年8月アスキー24掲載

インターネットをビジネスシーンで活用している人に今更
インターネットメール(以下e−mailと略)の有効性を説いても、釈迦に説法だろう。
しかし、e−mailは、その有効性の割には、その地味さゆえ、
マスメディアなどで取り上げられる事が少なく、世間での認知は多い
とはいえない様だ。
そのe−mailが普及する兆しが見えている。
普及の推進力となっているのが、NTTドコモとマスターネットが共同で
展開している,携帯電話を中心としたe−mailサービス10円メールと、
10円メール利用を中心に据えた一連のハードウエア群である。中でもテレビ
などで盛んに宣伝がされているポケットボードが売れている。
実際、筆者の近所のドコモショップでは、在庫が無く、今月末にならないと入荷
しないという。
ポケットボードの実売価格は1万円前後、それに5千円以下で販売されている
1.5Gの携帯電話(シティフォン)を新たに購入したとしても、2万円以下で
e−mail環境が構築できてしまう。
ちなみにe−mail環境を構築するためには、パソコンとモデムの組み合わせなら
10万円以上、PDAを使った場合でも5万円以上はかかってしまう、2万円以下で
構築できるe−mail環境は画期的といえる。
但し、現在発売されているポケットボードはパステル調の色彩を使い半透明の
ボディーに丸みの強い形状で、明らかにポストポケベル世代の若い女性を対象に
した商品である。
そこには、若い女性達なら企業内でのe−mail経験からキーボードアレルギー
も無く、ポケベル経験により文字によるコミュニケーションに対しての抵抗も少ない
だろうとの「読み」が働き、商品が開発され、「読み」が当たり、「売れている」
のだろう。
今後、当然の事としてNTTドコモ以外の移動通信サービス会社、モバイル製品を
作っているメーカーは、10円メール、ポケットボードに対抗するサービスや商品を
投入して来る、そして選択出来る商品の幅が広がれば、商品に興味を示す層も
広がり、いままでe−mailに無関心、無縁であった人達もインターネットに
参加してくるだろう。
流行が若い女性から始まるという昨今の風潮がe−mailにも当てはまるの
であれば、昨年来のモバイルブームと相乗しe−mailによるコミュニケーション
が大ブレークする可能性があり、目が離せない。


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マピオン


  1998年8月アスキー24掲載

デジタル社会を生き抜くあなたにこのコンテンツを薦める。

注目のWWWサイト:マピオン(http://www.mapion.co.jp/)
大量の情報を整理するためには、データベースという道具が有効である。
データベース上で、情報の整理の仕方、インデックスの付け方には様々な
方法が提案されており、WWWのハイパーテキスト、ハイパーリンク構造も
情報整理の有効な手段である。しかし、WWWの持つデータベース機能を
有効に使ってる例は多いとはいえない。
ここで紹介する、「マピオン」は、商業情報(店舗情報)の検索を地図を使って行う
webサイトであり、Webのデータベースとしての機能を上手く使った例である。
知りたい店舗、探している店舗を地図上でクリックする事により掲載されている
情報を見ることが出来る。すなわち地図をインデックスにし、地図上の座標と
店舗情報をハイパーリンクしたデータベースである。

「マピオン」で注目すべきは、
1.日本全国の詳細な大縮尺地図を用意した事。
2.WWWのホームページを見る価値のある広告メディアにし、
   ホームページの商業化に成功した事。
であろう。

「1.」により、「マピオン」は純粋な地図帳として機能し、外出時の
道順の確認、旅行計画時の見どころの確認などに十分な威力を発揮する。
サイト内の地図は、正確な縮尺で作られ、デフォルメされた物ではない。
「2.」により、従来の有料情報の提供、バナー広告、サイバーモールに
よる有料サーバ提供など、今一限られていた、ホームページの商業化に
新しい地平を切り開いた事だろう。
これは見方によっては、日本全土をサイバーモール化したとも言える、従来
あまり振るわなかったサイバーモールが、「マピオン」では広告メディアとして、
また一種の検索エンジンとして機能し、多くのアクセスを獲得している、
現状、200万ヒット/日の平均アクセスが有るという。
地図上には43万件のランドマークが記入され、商業店舗情報も1万5千件以上
登録されている。利用者の多くは、会社からアクセスしアフター5の
スケジューリング等に活用しているという。
また、地図上の文字情報は全て検索する事が可能で、店舗名などから地図上の
座標を特定する事も可能である。
提供されている情報は、まだまだ十分とは言えないが今後増えて行く事が
予想される。
以上は、利用者側からの見方であるが、事業者にとっても、1年間2万円で
地図上に自社の所在名称が記載され、自社情報を載せる事が出来、自社サイトへ
のリンクが張ることが出来るのは、コストパフォーマンスの高い、インターネット
の活用法といえるだろう。
今後の課題として、掲載情報、地図情報のメンテナンスがどこまで細かく
出来るか、地区により、ヒット数により、掲載料に差を付けなくても良いのか、
などいくつかが考えられるが、WWWと地図の持つデータベースとしての特性を
上手く組み合わせたこのサイトは十分に注目に値する。

「マピオン」は(株)サイバーマップジャパンが主催し、(株)サイバーマップ
ジャパンは、凸版印刷、NTT、電通が出資している。サイト内の地図は国土法に
基づき凸版印刷が作成したもので、十分に高い精度を持った物である。

URL:http//www.mapion.co.jp/



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家庭内LANの本格普及


  1999年1月アスキー24掲載

●'99年に私が注目する製品/サービス 家庭内LANの本格普及

 3年前に買ったWindows95が走るPentiumマシン、
持ち歩き用のサブノートかミニノート、デジカメのデータ処理の必要から
最近買ったPC98規格のマシンなどと、複数台のPCを所有するユーザーが
増えているのではないだろうか。
 また、家庭内で、夫婦が別々にパソコンを所有することも珍しくない様だ。

 最近のネットワーク用ハードウエアの値段の下がりようにも目を見張る物がある、
家庭内LANで使うようなポート数のハブなら数千円で手に入るし、
ダイアルアップルータも以前なら考えられない様な安い値段で各社から
発売されている。
 複数台のパソコンが有るのなら、安価になったネットワーク用ハードウエアを
活用し、それらをネットワークしない手は無い。ネットワークによるメリットは
ここで述べる必要もないだろう。

 但し、家庭内LANは、LANとしてのメリットはハードウエア資源、データの
共有くらいしか享受できないだろう、ネットワークの大きなメリットであるはずの
コミュニケーションメディアとしての活用は兎小屋と揶揄される狭い日本の家屋で
はあまり意味をなさないだろうし、一人のユーザが複数台のマシンを所有使用する
必要からネットワークを構築することも多いだろう。

 家庭内LAN普及の阻害要因としては、配線の問題が考えられる、現状一番多く
使われている10BaseTのトポロジーでは、2つの部屋それぞれに複数台の
パソコンが有るのなら、ハブを複数台数用意するか、複数のツイストペアケーブルを
部屋の間に引かなくてはならない。
 既存の家屋に新たな配線を行う事は困難な作業になるし、見てくれなど考えたら
やりたく無いのが人情だろう。
 マンションなどの不動産広告でも、さすがにネットワーク配線済みというのはまだ
見たことがない。

 そこで、コードレスフォンと同じ発想の家庭内で使える無線LANアダプターの
開発、発売が待たれる、業界内で無線LANの規格も近日中にまとまるようなので
期待したい。
 家庭規模の無線LANが実用になると、ケーブルに束縛される家庭内LANから、
仲の良いご近所とネットワークを組む、ご近所無線LANなども可能性として
考えられ、コミュニケーションの新しい枠組みがまた一つ増えるのも楽しいで
はないか。


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モバイル・PDA


  1999年1月アスキー24掲載

●'99年に私が注目する製品/サービス

モバイル・PDA

 雑誌によると、今一番の売れ筋のパソコンは、スリムノートとかミニノートと
言われる機種らしい。
 ハードウエアの進化、特に表示装置、機構部品の小型化は、専用CPU、
専用OSが当たり前であったモバイルコンピュータの分野にも、デスクトップ機と
同じCPU、同じOSが使用できる環境を持ち込んでしまった。
 これは、ユーザー達がパソコンを常に持ち歩き、オフィスや家庭での便利な
環境と同じ環境をいつでもどこでも活用したいという欲求の現れだろう。

 従来、モバイル・PDAと言われる製品分野は、電子手帳が進化、高機能化
した機種、独自OSもしくは、汎用OSのサブセットを持ちパソコン的な使い
勝手を持つ製品群など、パソコンの世界と違い様々なアーキテクチャーが百花
りょう乱である。
 日本のメーカも欧米のメーカも商売としての美味しさの薄くなってしまった
パソコンの世界よりは、商売としてうま味の多い、独自のアーキテクチャー、
独自の技術の製品を次々に発表している。

 メモ、スケジュール管理、アドレス帳など機能を限定した手帳代りに使われる
のなら、フルセットのOSは必要ないという声も聞こえるし、データをデスク
トップとシンクロさせるなど、使い勝手を考えるのなら、フルセットのOSが
欲しいというユーザーも多いだろう。
 しかし、フルセットのOSを走らせるためには、デスクトップの構築など
表示の見やすさを考えるとポケットに入る様な極端な小型化は難しいだろう。
 また、ペンによる手書き入力かキーボードによる入力かなど、インターフェース
に対する議論もますます盛んになってくるだろう。

 おおかたの方向性が決まってしまったパソコンの世界と違い、これら、モバイル・
PDAが、独自の世界を築くのか、はたまたパソコンと同じOSの走る、
同じ使い勝手の超小型のコンピュータとして位置づけられて行くのかの方向性が
決まるのが99年だろう。


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